2019年03月28日

あるワインの物語

家人が白ワインのボトルを僕に手渡して一言。
「エチケットの表面を触ってみて」
エンボス加工でも? と、僕が指先で文字をなでる。

予想に反してエンボス加工は施されていなかったが、小さな丸い突起を感じた。
改めて僕はボトルに貼られた紙を眺める。

「生産者は目の見えない人なの」
家人が微笑した。

僕は彼女の瞳をじっと見つめ、それからボトルのエチケットに再び手を触れた。


「ペイ・ドック ブラン」の特徴とか、そうした類のことを誰かに語れるほどの知識も経験も教養も僕は持たないから、それは得意な方が語ってくれれば良いと思う。


僕は初めて「ワインの物語」というものに触れた気がしたのだった。
それは価格の高低とか、どこで扱っているとか、ではない、気が付かなければずっと見過ごしてしまうに違いない、生身の人間の息遣いの物語である。


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タグ:ワイン
posted by Cat's hand at 00:11 | Comment(0) | 土曜の夜と日曜の朝 | このブログの読者になる | 更新情報をチェックする
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